ユートピア研究

『見つけ出すもの』ではなく『作り出すもの』、それがユートピア

11. 建築家たちによるユートピア都市の設計

政治家モアが描いた「ユートピア」は、都市型理想社会といわれるもので、そこでは都市機能の利便性が問われる部分が大きく、これは都市設計を専門とする建築家たちにも大きな課題を投げかけてきました。 この中で、建築家の中にも人類の未来を考え、地球の環…

10. 宗教者たちのユートピア造り

ユートピアの中には宗教思想が土台となり、安定した理想的社会を築き、地域社会から尊敬されるケースも多くあります。 キリスト教の原点である、キリストとその弟子たちの、家計を全部一緒にした衣食住共同体が原始共産主義の土台であるとされているため、ア…

9. 文学者たちが描いたユートピア

19世紀から現在にかけて最も大きな影響をもったユートピア思想とは、ロシアの文豪レオ・トルストイのものではないでしょうか。 「戦争と平和」で知られるトルストイの作品の中には、「イワンのばか」という彼が理想とする人間像を描いた作品があり、そして徹…

8. 経済学者たちのユートピア

16世紀は、プロテスタントとカトリックなどによる宗教対立争いの一部としてのユートピア的社会造りがみられました。 その後、それが社会問題や経済格差問題が要因として平等や自由、人権などが観点となったユートピア社会への憧れが深まりました。 これが19…

7. モアの与えた影響

~理想郷造りの試み~ モアの作品「ユートピア」は、16世紀当時のヨーロッパで大きな影響を及ぼしました。 そして、モアの作品に影響されて理想的な社会創りを考える人々が世界各地に現れました。 当時の行き詰った状態にあった社会体制に夢と希望を与えたの…

6. 政治家トマス・モアの描くユートピア

モアの本の中では、ある旅人が、理想郷と思える国をモア達の前で開陳するという構成でかかれています。 このユートピアは原始共産主義の思想が反映されているのですが、モア達の時代は、絶対主義の時代に入りかかった頃なので問題になることを避け、それを伝…

5. ユートピアの生みの親 ”トーマス・モア”

今日は、ユートピアの生みの親である、「トマス・モア」について研究していきたいとおもいます。 トマス・モアは、1478年2月7日ロンドンで生まれました。祖父・父ともに法律家で、彼もオクスフォード大学に学んだあと法律の学校に進み、1504年議会で庶民院議…

4. ユートピアとは(4)

ユートピア文学 ユートピア思想の文学といえるものは古くから存在し、歴史とその時代の文学に影響してきました。 古代ギリシャの「ギルガメッシュの牧歌的理想郷」 西洋人がたちが想像した「東洋の桃源郷」 老子の「少国寡民の理想」 プラトンの「国家」 サ…

3. ユートピアとは(3)

世界の理想郷伝説 集団生活を基本とする人間の理想的生活環境とはいったいどうゆうものであるのかと、古代より人々は理想社会を様々に模索しました。そして多くのユートピア伝説が現れ、伝えられてきました。 そしてこの中には実際に存在した可能性が高いユ…

2. ユートピアとは(2)

ユートピア思想とは ユートピア思想というのは、満足できない現状にたいする批判から出発しているのではないのでしょうか。 それが、批判だけではなにもならないことに対し、今度は自分で理想的な社会思想を構築してみることから、さらにそれを何らかの形で…

1. ユートピアとは(1)

理想郷とは、見つけるものではなく造り出すもの ユートピアは「理想郷」や「理想国」、「理想社会」とも言われています。 「ユートピア」という言葉は、もともと16世紀イギリスのヒューマニストで官僚・政治家のトマス・モアが書いた本の題名で、その物語中…

56. 自他共生の精神をもつ自給自足 循環型経済社会の提案

多くの国々が、経済成長をして経済大国になることが幸せだという信仰を持ってきた。歴史的には大航海時代から約500年間、こういう考え方を続けた結果、今、人類の生存を脅かす事態が起こっている。 経済大国を目指す国々は、工業中心の社会を作ってきた。そ…

55. 自給自足共同体  - 参考ケース紹介 - 

埼玉県の「新しき村」 新しき村は、武者小路実篤氏が提唱した「人間らしく生きる」「自己を生かす」生活、社会作りに共鳴した人々と共に始められた運動で、一言で言えば理想的社会を作る運動。自分がよりよく生き、そのことで他人の役にも立ち、お互いの協力…

54. 自然農業、有機農法、無農薬農業

自然農法 財団法人 自然農法国際研究開発センターの公式サイト。 自然農法センターでは、化学肥料や合成農薬に頼らずに、自然界の仕組み、特に土の偉力を最大限に活用する自然農法の技術確立、普及を目指して、試験研究、教育研修、国内外への普及活動に取り…

53. 「共生社会」の提唱   -内閣府の共生社会政策より-

少子・高齢化が急速に進む中で、社会の活力と安定を確保するには、多様な個人が能力を発揮しつつ、自立して共に社会に参加し、支えあう、「共生社会」の形成の視点に立った青少年育成施策、少子・高齢化対策、障害者施策などの総合的な推進が重要です。 この…

51. 自立社会の基本   ユートピアの基本条件は自給自足 

人間が幸せに暮らすことのできる理想的社会を模索するなかで、イギリス人のモアが描いた「ユートピア」は、共同労働による自給自足の自立社会でしたが、これはモアを知っているかどうかにかかわらず、多くの思想家や理想家が追い求めた平和な平等社会にはみ…

50. 東京農大生たちの杉野農場 農業拓殖活動による世界経済の再建

東京農業大学は日本でも最大規模の農業専門大学であり、卒業生たちが海外で活躍していることで知られる大学である。 創設者の英傑榎本武揚は、北海道開拓にも関与した経験から、農業を発展させるためには農民の教育が大切であると痛感し、本学を設立した。そ…

49. 理想的社会造りを考えるNPO 新しい形のユートピア的社会造り

いつの時代にも平和で理想的な社会造りを考える個人やグループが存在しました。しかし、それは同じ理想を共有する人間たちが組織化しなければ無力な構想や理想のままで終わってしまいます。 20世紀は、組織の重要性が実証された時代ですが、21世紀は民間組織…

48. 宗教的社会福祉を実践する大倭教 ~産業、病院、生活圏をまとめた共同体的宗教~

大倭教(おおやまときょう)は、矢追日聖(1911~)が1945年大倭神宮の神前で託宣を受けたとして、立教宣言をし、以来「宗教的社会福祉」を唱え実践してきました。 建設、土木、不動産業を営む「大倭紫陽花邑」の活動、心身障害者施設、老人ホーム、病院などの…

47. コミュニティ「癒しの郷」計画 ~自給自足の小さな共同社会の計画~

私たちは、経済変動や体制変化に影響されない安心の暮らし方を実現しようとしています。難しいことではありません。有為変換があるのは、人為世界(人間の生産で暮らす世界)だけです。自然の世界は安定です。自然の恵み(自然の生産力)の中で暮らすなら、…

46. 一燈園 (財団法人 懺悔奉仕 光泉林) ~無所有奉仕共同生活による世界の真の平和への祈り~

一燈園は、明治37年西田天香さんによって創始されたもので、自然にかなった生活をすれば、人は何物をも所有しないでも、また働きを金に換えないでも、許されて生かされるという信条のもとに、つねに懺悔の心を持って、無所有奉仕の生活を行っているところ…

45. わっぱの会知多共働事業所 キーワードは共生・共働 

『わっぱの会知多共働事業所』は2000年4月、愛知県武豊町(名鉄武豊線冨貴駅すぐ)に開設されました。食の基本である『農』を大前提に置いています。直営の農場を耕し、そこでみなで生産した農産物を事業所に持ち帰って加工品にするという、一貫した生…

44. 共働学舎 ~生産的勤労生活共同体 ~障害者との共存共栄~

共働学舎は、キリスト教精神に基づき身体障害者から知的障害者まで平等に生産的勤労生活の場を提供する共同体です。長野や北海道にまで展開する農業中心の農事組合法人のグループと、東京を中心にトイレットペーパー生産やリサイクル事業に従事する社会福祉…

43. 光の都市ダマヌール ~新しい社会モデルの創造に向けた試み~ 北イタリアのアルプスに造られた精神的追求のコミュニティー。

ダマヌールは、北イタリアのアルプスの麓に位置し、ヨーロッパ最大のコミュニティの連合体として、イタリア政府公認のもとで、独自の新しい社会体制を実現している自治体です。 30年以上に及ぶダマヌールの歴史の始まりは、人間の基本的な質問に対する答え…

42. 北スコットランドのフィンドホーン共同体 ~自然との共生のモデル的「聖なる楽園」~

スコットランドの北部にあるインバネスの空港から車で約40分のところにフィンドホーン共同体と呼ばれる不思議な世界があります。 そこは訪れた者から、「人々が植物に語りかけ、天使や妖精達の手によって野菜や花々が生き生きと活気に満ちあふれ、それらの植…

41. ユートピアが売り物のリゾートクラブ ~究極の観光ビジネス~

旅行する人のための宿泊設備がホテルや旅館であるのに対し、理想的な環境に作られた暮らしの設備をお金で買いとりたい人のためにリゾートクラブが作られています。 これは自然から離れてしまった都会に働く人たちに多くの資本をかけて最高の生活環境とサポー…

41. ユートピアを模索する産業 ~シンプルライフを提唱する企業~

㈱良品計画の場合 (無印良品) 写真はアフリカのカメルーン北部の山間地域にある「ディリ」という名前の小さな村です。かつてこの地を旅したフランスの作家、アンドレ・ジイドが「世界で一番美しい村」と称した場所。それがこのディリかもしれない。そんな噂…

40. ユートピア的社会造りを目指す企業 ~企業のユートピア目的~

企業家は事業を起こし、効率的にな利益を上げるために会社を育てていくのが一般ですが、中には、企業家は物を造ることによって社会を豊かにする使命があるという理念をもって事業をしている企業もあれば、始めから、社会造りに貢献することをねらって会社を…

39. 企業のユートピア化 ~生活共同体にまで発展する日本の企業組織~

日本の企業の中には、単に雇い主と労働者との関係ではなく、一つのファミリーとして成長し、どんなに巨大化しようとも役員から従業員まで結束と信頼関係が強い伝統的企業がある。創立者の人徳が大きく、リーダーシップのみならず、従業員に対して親のような…

38. 究極のユートピア 「スペースコロニー構想」 ~宇宙空間につくる数十万人が暮らす都市~

1969年アポロ飛行士の月着陸の成功の時に、世界の人口が当時すでに40億人を突破し、100年後には300億人近くになると試算されている状況から、このまま人口が増加し続けると、地球上の食糧資源や燃料資源がなくなり地球上に人類が生存できなくなることが懸念…