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ユートピア研究

『見つけ出すもの』ではなく『作り出すもの』、それがユートピア

18. シュタイナーの「ひびきの村」   ~神秘主義の人智学共同体~ 

 


 「ひびきの村」はユーゴスラビア(現クロアチア)のクラルイエベック生まれの思想家ルドルフ・シュタイナー(1861年-1925年)の世界観を基にして共に働き、学び、生きることを目指す人々のための場所です。

   ルドルフ・シュタイナーはすべての人が自由に、平等に、幸せに生きることを願って、社会三層構造の考えを提唱しました。「ひびきの村」はそれを実現するべく1996年に北海道伊達市に発足しました。このプロジェクトはアメリカ、カリフォルニア州ルドルフ・シュタイナー・カレッジの「自然と芸術」プログラムの前コーディネーター大村祐子と卒業生、賛同者によって進められています。美しい山々に囲まれた洞爺湖、穏やかに広がる噴火湾、緑の丘陵。素晴らしい環境は、「ひびきの村」に住む人々がそれぞれに備えられた才能や力をばすことを可能にし、自らの使命のもとに生きるにふさわしい所です。


 この世のすべての人は異なった使命を担って生まれてきました。そのために、わたしたちは異なった人格と、異なった力を授けられているのです。違いを批判し、非難することなく互いに信頼し、愛し、敬う時、わたしたちの上に光が注がれます。わたしたちはその光が真理へ導いてくれると確信しています。いつかわたしたちが愛と、真理と、美に満たされた存在になることができるように願いながら、わたしたちはル ドルフ・シュタイナーの思想を手足と、心と、頭を使って実現したいと考えています。
 そして将来ここに、シュタイナー学校、お年寄りや障害を持つ方と共に暮らすホーム、病院、手工芸や木工の工房、世界中の人が共にシュタイナーの思想や芸術を学ぶプログラム等をつくりたいと考えています。

シュタイナーの思想とは 

人が「愛」と「真」と「調和」の内に共に生きようとするとき、「精神の自由」、「法の下の平等」、そして「経済の友愛」が保証され、それぞれの領域は互いに拘束することなく自由で自立していなければならない、という考え方です。今、豊かな物質に恵まれながら、精神においては実に貧しいあり方をしているわたしたち、そして、そんなわたしたちがつくる対立と争いと略奪に満ちた社会を変えるためには、わたしたち自身のあり方を変え、社会の仕組みを変える以外には方法がありません。わたしたちの精神が創造する文化は、法律や経済に縛られることなく自由な活動であるべきです。また、わたしたちは性、能力、生まれ、育ちなどによって差別を受けてはならず、法の下では何人であれ平等であるべきです。そして、すべての経済活動は、「労働は他者のためになされる」という「友愛の精神」に貫かれていなければならないのです。

 わたしたち人間は身体と心と精神を兼ね備えた存在であり、人間は「精神の進化を遂げるために存在する」という「自己認識」です。
 彼の認識は「人智学」(精神科学)と呼ばれ、今、世界中で多くの人々が学んでいます。そして、「人智学」に基づいたさまざまな実践、すなわち教育(治療教育、シュタイナー教育)、芸術(オイリュトミー、言語造形、絵画、建築)、医療、介護、農業、経済など、人間の社会生活と文化生活の多くの領域において、その改革を目指す人々によって、世界の至る所で実践されています。 

 この農場は伊達市郊外の海が見渡せる丘の上にあります。シュタイナーが提唱し、多くの農業者が実践を重ね育て上げた「バイオダイナミック」農法を実践する、日本では数少ない農場のひとつです。バイオダイナミック農法の特徴は、天体の運行に合わせ作業を行い、宇宙からのエネルギーを取り入れやすくするために調合剤を撒き、コンパニオンプランツなど雑草をうまくつかうこと。また、農場ではこのほかにも不耕起、草マルチ法などを取り入れ、化学肥料や農薬を全く使わず生命力あふれる野菜を育てています。地球は宇宙からエネルギーを注がれているひとつの生命体です。私達は、宇宙の力によって育った食物を食べ、生かされています。すべてが循環している自然のサイクルから人が孤立せず生きていけることを、環境に負荷を与えず持続可能なバイオダイナミック農業の実践を通じて伝えていきたいと思います。