ユートピア研究

『見つけ出すもの』ではなく『作り出すもの』、それがユートピア

51. 自立社会の基本   ユートピアの基本条件は自給自足 

 

 人間が幸せに暮らすことのできる理想的社会を模索するなかで、イギリス人のモアが描いた「ユートピア」は、共同労働による自給自足の自立社会でしたが、これはモアを知っているかどうかにかかわらず、多くの思想家や理想家が追い求めた平和な平等社会にはみんな共通した「ユートピアの条件」をいうものが出てきます。

 それは、どの社会でもまず、食料の確保が一番重要となります。これは日本では、戦後の苦しい時代を体験した人でなくてはなかなか実感しないかもしれませんが、食料確保はたとえハイテクの技術をもった国でも財源豊かな国でも軽視できない基礎条件となります。そしてそれを自分で生産できるのか、人から買うのかでまた大きな違いが出てくるのです。

 一種のユートピア事業とも言える「自給自足の社会造り」を実践するためには、自然農法、有機農法、環境循環型農業が農業手法の基本となり、さらに、エネルギーの自給自足や循環型供給形態などを開発・研究していく必要があると思われます。実際すでに多くの団体や企業がそれらを研究・開発し、試験などを行っているので参考までに集めてみました。


 環境政党「みどりの会議」は「経済成長に依存しなくとも安心して暮らせる社会を目指して」という、一般の考え方に逆流するような政策の基本方針を掲げていますが、この政党の理念は、本来の人間的生き方を可能にする社会のあり方ではないかと考えられます。ちなみにこの政党を紹介することを意図でこのサイトを作ったのではありませんが、つきとめていった先に「みどりの会議」の理念と出会い、求めていた考えかたを見つけたので紹介させていただきます。

 経済成長を第一義とし、市場と金融の自由化を進めるグローバリゼーションは、わたしたちの理念の対極にある。経済成長を原理とする競争社会は、人間や自然から時間を奪いつづける。わたしたちは、すべての自然や生き物、人間が、互いにつながり、持てる能力を発揮し、生命の時間を共有することが、幸福の源泉であると理解し、ゆったりとした時代を創造する。わたしたちは、環境と生命の視点から、経済成長に依存しない、質の高い心豊かな社会を目指す。そのため、経済の波に左右されず、人々の創意、参加、そして協力に基づく、多様で魅力的なコミュニティーの実現をはかる。

     人口爆発が予想される将来、食糧の自給率向上が不可欠の課題となっている。自然の摂理にかなった農業や林業、風土を生かした地場産業、そして生態系を尊重する漁業は、多くの人手と時間を必要とする。 また、利益拡大を第一の目的としない非成長型の事業は、食糧生産ばかりでなく、流通、情報、建築、教育など生活全般に無数の新ビジネスを生むだろう。 本来の循環社会とは、このように人々と自然が共に暮らし、自給自足できるコミュニティーを基本にした社会のことである。

 新しい時代を主導するのは、中央政府でも大企業でもない。主役は多様なコミュニティーであり、そこに暮らす一人一人の住民である。

 わたしたちは、節約と質実を美徳とする社会を、人々の創意と主体性に基づいて創出しようと思う。

 グローバリゼーションは、少数の強者が巨大な勝利を手にし、圧倒的多数の弱者を敗北させるために、「早く」「大きく」「高度に」をスローガンにして猛進する。これに対し、わたしたちは、「ゆっくり」「小さく」「簡素に」(Slow, Small, Simple)をモットーとする。

   
 国際社会が大きく揺れ動く変動の時代に突入し、いままで流動的な生き方に振り回されてきた経験から、これからは社会も個人も自然と共存する持続的な循環型社会の必要性に気付いてほしいと願うものです。



 

 自給自足を考える - 関係サイトへのリンク -

 

自給自足のすすめ

 人類は原始時代は生きる為に自給自足が原則であったと思われます。人類は文明の発達と共に分業化により効率的に生活をするようになりました。現代社会は分業化が発達した結果なのでしょうが時々生き甲斐を感じられなかったり空しさを感じるのは私だけではないと思われます。我々は労働時間を生活の糧に変えるようになってから自由を束縛され生き甲斐を持ち難くなっているのではないでしょうか。         


 

もしもあなたが自給自足の生活を送っていたら

 もしあなたが東京ドーム内で、自給自足の生活をしているとしたらどうしますか?. ●子供達や自分たちが食べる米や野菜に猛毒の除草剤をかけるでしょうか? ●毎朝、朝シャンで合成洗剤を流し続けるでしょうか ...          


自給自足の会

 かけがえのない地球の自然を子々孫々に受け継ぐため、環境保全を重視した生活様式を追及する』ことを目的につぎのような活動しています。植林・植樹等、景観形成・保護事業、作物生産・食品加工等、自給事業、省資源・省エネなど、環境に負荷をかけない生活の研究・実践など、環境保全に携わる活動


自給自足会社

「食糧安全保障と雇用の拡大、ワークシェアリング
 人が求めているのは、究極的には幸せ。お金が幸せの代行をしてくれるわけではない。お金さえあれば幸せになれると思うのは、幻想。お金に過度に執着しないで、喜んですすんで働こう。自給自足さえあれば、それほど多くのお金は必要にならない。  


楽農人と自給自足

 一体どれくらいの広さの圃場があれば、人間は自給自足的な生活が送れるのでしょう? ある農家の方が年間を通して契約者にお米と野菜を給しつづけた実績から割り出した数字によると、1人あたり4アールほどの圃場があれば自給自足は成り立つそうです。夫婦2人が、約1反の圃場で週3日・3時間程働けば、自給自足的な生活をすることはできるのだそうです。 


アノケロ村~自給自足の生活の考察

私はスタディーツアーに参加して、ソロモン諸島へ行ってきた。一週間だけではあったが、私はアノケロ村という村にホームステイした。アノケロ村では、そこに暮らすほとんどの人が、自給自足に近い生活をしている。それはまさに、夢のような生活だった。アノケロ村には、日本にない豊かさがある。ソロモン諸島の社会は、外国人の自分にとっては、そのまま存続してほしい社会だ。あまり経済の発達した、自給自足のやりにくい社会にはなってほしくない。しかし、本当はソロモンの人々が望むように発展すべきだろうし、そうなるだろう。だが、自給自足の生活の豊かさは、忘れないでほしい。 


自給自足のコミュニティづくり 

 デンマークで見つけたこのコミュニティの計画は1986年から始まっていた。1988年に計画をオーフス市に申請すると、オーフス市は現在コミュニティの位置している3.3haの土地をから農業及び住宅地域として指定、コミュニティの計画をオーフス市の地域計画の一部として許可している。コミュニティの目標は環境に優しい、住民約500人の地域づくり。住民は地域内で農業や住宅建設などを行ない、自給自足を目指している。 


 

自給自足サイトのコレクション

 WEBサイト「知る」の自給自足に関するサイト集。 


農都の共生型事業

 私たちは「都市民」で、普段は都市に暮らし、農業とはまったく関わりない生活をしている。しかし、何らかの形で農作業をやり、自分ブランドの食糧を少しでもいいから作りたい。一種の健康のためのように農作業をしているが、やはり農業に接したいし、近隣の景色や山野の楽しみもやりたい(タケノコ堀りや山菜・きのこ、もとりたい…)。いろいろ思いの違いはあるにしても、グループでやりたいと思っている。
 もし仲間が気に入れば、みんなで農園を手に入れ、仲間と過ごせる家を持ちたいとも思っている。そうなると都市と農村の両棲生活ということになり、それこそが望ましい姿として、皆でしばしば話し合っている…
 今は私見だが、実現に向け「農都市民会議」で活動を開始した。



充分生活

 私たちのまわりには、さまざまなモノがあふれています。その中で私は思います。「本当に必要なモノは何だろう。」
 スローガンや大義名分を人から借りてくるのではなく、本当に自分のからだが要求している生活。そのスタイルが見つかってくれば、それは気持ちのいい生活になります。 私はその生活スタイルを「充分生活」と呼びたいのです。決して豪華ではなく、かと言って禁欲的でもなく、シンプルで質の高い生活。 そのスタイルは、結果として「地球にやさしい生活」になってくると思います。また、本当に地球全体・人類全体が持続可能な生活スタイルかもしれません。