2. ユートピアとは(2)
ユートピア思想とは
ユートピア思想というのは、満足できない現状にたいする批判から出発しているのではないのでしょうか。
それが、批判だけではなにもならないことに対し、今度は自分で理想的な社会思想を構築してみることから、さらにそれを何らかの形でシミュレーション化する、一方ではそれを実現に移してみるといった進展が出てきます。そのため、現実を超越できる構想力のないところに、ユートピア思想はうまれません。
マルクス主義からは「空想的」と批判されたユートピア思想でしたが、理想社会を描くことで現実の世界の欠点を照らす鏡としての意義を持っているのです。
西武百貨店グループを作りあげた人であり、詩人であり、小説家でもある堤清二氏は、
「民主主義は、マルクスの思考の強いユートピア思想の解毒剤であるが、またユートピア思想のない民主主義は、魂を入れ忘れた仏のようなものでもある」
と言いました。
ユートピア思想は、民主主義、マルクス主義のバランスに必要なものなのかもしれません。
様々な形態のユートピア思想がありますが、ユートピア思想とは、本来群れをつくり集団で生きる性格をもつ人間の一番理想的な生き方を実践できる環境であり、「しあわせ」を感じることができる生活環境ではないでしょうか。