3. ユートピアとは(3)
世界の理想郷伝説
集団生活を基本とする人間の理想的生活環境とはいったいどうゆうものであるのかと、古代より人々は理想社会を様々に模索しました。そして多くのユートピア伝説が現れ、伝えられてきました。
そしてこの中には実際に存在した可能性が高いユートピアも多くあります。
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アルカディア: ギリシャ南部に実在する地名だが、古来より牧歌的な理想郷として知られている。
アガルタ: 大洪水によって地底に移住したとされる人々の王国。モンゴルやチベットのラマ僧などにより、口承として流布されて来たという。地球空洞説の一つ。
シャンバラ: チベットでカイラス山の麓にあると信じられている理想郷。
桃源郷: 陶淵明が『桃花源記』の中で描いた理想郷。秦の時代の戦乱を逃れた者達の子孫が平和に暮らす里。桃源郷をサンスクリット語読みしたものが中央アジアの理想郷伝説であるシャングリ・ラである。
蓬莱: 中国の東方に浮かぶ島で、神仙が平和に暮らし不死の仙薬が手に入るとされる。蓬莱のほか、方丈・瀛州(えいしゅう)をふくめて三神山とよばれる。
常世: 日本神話に登場する、海の彼方にある理想郷。死者の国ともされる。
ニライカナイ: 琉球列島に伝わる、海の彼方の理想郷。ここから福も災いももたらされるとされる。沖縄の墓などが海に向かって作られているのはこのためである。
アヴァロン: ケルト神話に登場する霧に包まれた伝説の島。アーサー王をはじめとして英雄達が集っているとされる。
エル・ドラド: 南米大陸を開拓したスペイン人(コンキスタドール)達のあいだで信じられた黄金の国(黄金郷)。
ジパング: マルコ・ポーロによって伝えられた東方の黄金郷(東方見聞録)。中世の日本の事だと思われている。
カナン: 旧約聖書で神がイスラエルの民に約束したとされる乳と蜜の流れる地。
アトランティス: プラトンの対話篇『ティマイオス』『クリティアス』に登場する古代の理想国家。豊かで強大であったが地震によって一夜にして海に沈んだという。
ザナドゥ(上都): サミュエル・コールリッジの『クーブラ・カーン』に描かれている理想郷。
キーテジ: 近世ロシア人に伝わる旧ロシア正教の聖地。シベリアの奥彼方にあるとされた。古くは13世紀モンゴル帝国の侵攻により逃れた旧ロシア正教徒によって造られたと言われている。そして17世紀のロシア帝国による上からの宗教改革によって弾圧された、ロシア正教旧教徒の理想郷とされ信じられた。
シバの女王の国: 旧約聖書に出て来る謎の国。女王とソロモン王の邂逅の話。現在のエチオピア周辺(イエメン?)と推測されている。
オフィール: 旧約聖書に出て来る黄金郷。現在のマリ共和国(あるいはジンバブウェ)ではないかとされている。17世紀末のドイツにディストピアとして作者不明のパロディ本(偽書)が出ている。
プレスター・ジョンの国: ヨーロッパ伝説の東方キリスト教王プレスビュテル・ヨハネス(Presbyter Johannes)の治める国。
徐々にこれらのユートピアも研究していきます。