ユートピア研究

『見つけ出すもの』ではなく『作り出すもの』、それがユートピア

27. イエズス会について

 イエズス会は、1534年、スペインの騎士道精神に富んだ武将として活躍した軍人イグナティウス・ロヨラによって設立された修道会です。

 

ロヨラは、プロテスタントとの戦いで瀕死の重傷を負ったことが彼の人生の転機となり以後、霊的体験を高め、学問に励み、そして、43歳のときにパリ大学の学生らと7人でキリストに習って清貧・貞潔のうちに隣人への奉仕に生きることを生涯の使命とした「モンマルトルの誓い」をたてますが、これがのちのイエズス会となりました。

 

 それまで宣教活動をしていなかったカトリック教会は、プロテスタントの登場によって、勢力が脅かされ、またルネッサンス(文芸復興)の時代を迎えたヨーロッパでは、カトリックの腐敗と堕落を批判する宗教改革運動が爆発的に広まっていたこともあり、カトリック教会は、内的刷新が求められていたのでした。

 

そんな中でイエズス会は、風紀を正し、生活を浄化し、世界を神のために獲得しようという希望に燃えていたので、ローマ法王は彼等を世界宣教に派遣しました。

 

イエズス会は、法王の十字軍、世界宣教の主な担い手として活躍していくことになり、信仰、学識、体力、ともに優れた神父たちが、まだ見ぬ未知の大陸に福音を伝えることを夢見て、若い命を賭けて、広大な海原(うなばら)を渡っていきました。

 

その中で、フランシスコ・ザビエルは日本にやってきましたが、他方多くの宣教師たちは南米の好戦的なインディオたちの地へ入っていったのでした。